気がついたら異世界だった。
そして──耳の奥で、ありえない声が流れた。
『明日の朝は“濃霧”に注意してください』
前世で毎日聞いていた天気予報だ。
ここは魔力と天候が結びつく世界アステリア。
なのに俺だけ、なぜか“前世の天気”が聞こえる。
その予報が告げた通り、谷に濃霧が満ちた瞬間、魔物が現れた。
逃げ惑う人々。助けを求める声。
──俺は知ってしまった未来を、見捨てられない。
やがて、空の気配を読む巫女の少女と出会い、
“予報”と“同調”が重なることで、未来の輪郭が見え始める。
世界の端から響く不吉な残響。
前世の天気予報と、この世界の災厄がつながっていく。
これは、
前世の天気予報だけが聞こえる青年が、二つの世界の危機に挑む物語。