十二歳で暗殺組織の一員として育った神楽イザナ。
そこから七年の地獄を生き抜き、十九歳にして一流の殺し屋となった俺は、任務の帰りに仕掛けられた爆弾で命を落とす。
そこで俺の人生は終わるはずだった。
だが目を開ければ、そこは死後の世界。
頼りなさそうな天使に告げられたのは「あなたは異世界に転生します」という冗談みたいな言葉。
しかも俺に与えられた魔法適性は、まさかの生命魔法!?
殺すことでしか生きられなかった俺が、人を癒やすだと?
皮肉にも程がある。
……まぁそれでもいい。もう血の匂いはこりごりだ。
異世界でなら、誰にも縛られず、普通に生きられるかもしれない。
そう決めて転生した俺を待っていたのは、意外な再会だった。
リンゴを抱え、涙目で俺に抱きついてきたエルフの少女。
その声を聞いた瞬間、俺は耳を疑った。
「……せんぱい!」
かつて地獄を共に生き抜いた、唯一の同期。
だが、彼女の口から語られたのは信じられない言葉だった。
「私、先輩を二十年間も待ってたんですよ!」
転生して、数時間しか経っていないはずの俺と、二十年を過ごしてきた彼女。
時間の歪み、不滅の呪い、そして生命魔法使いとしての新しい人生。
これは、時を越えて再会した二人が、自由気ままに世界をめぐる異世界冒険譚。
・主要人物紹介。
※ネタバレしない範囲
イザナ:主人公、生命魔法使い、一応ヒーラー、皮肉だが血を使って戦う。
リカ:ヒロイン、エルフ、風魔法使い。
リュミナ:ヒロイン、元S級冒険者、竜族、ドラゴンナイト、イザナの先生。