世界最弱の存在とは何か。
スライム?ゴブリン?コボルド?…………違う、氷だ。
製氷工場で働くブラック社畜の俺は、特大の雹に当たって死んだ。
結果、あろうことか氷となって異世界転生してしまった。
ぽかぽか陽気で致命傷、それが俺。
どうにかして日陰に移動するが、ホッとする間もなく、森で高熱で倒れているドラゴン娘を助ける(国を追放された王女だって、マジか)。
強い火魔法スキルを持つが、熱がこもる体質のせいですぐにオーバーヒートするらしい。
俺の身体を食べさせ冷やしたらなんと、俺は《氷族進化》という氷属性の魔物に進化できるシークレットスキルを得た!
レベルアップすれば強くなって生き残れる!
ドラゴン娘曰く、この世界では北に広大な極寒の大氷原があり、涼しいところで暮らしたいから目指しているとのこと。
俺も「溶けて死ぬ」危機から脱出したいので、一緒に旅することになった。
道中、魔物やら危険な悪人やらと戦い、地道ながらも俺は少しずつ進化し、強くなっていく。
やがて、「氷結の大魔人様!」と色んな人が熱狂するように――。
とりあえず、ちょっと落ち着いてもらっていいですか。
溶けちゃうから。
氷に転生した俺は、ドラゴン王女と極寒の大氷原を目指す珍道中を送る。
そして、この時の俺はまだ知らなかった。
目指す大氷原は豊富な地下資源が埋まっており、人間だけでなく、亜人や魔族までもが奪い合っている、世界で一番「激熱」な場所だと。