この国、倫理観、マジ終わってるよね。
現代日本から転生した侯爵令嬢セイラが暮らす帝国では、獣人やエルフなどを“非人間種”と呼び、“道具”として扱っている。
働かせ、飾り、飽きたら壊す。それがこの国の日常だ。彼らは個として認められておらず、人権など存在しない。
そんな腐った常識にうんざりしながらも、セイラは淑女として静かに息を潜めていた。
あの夜までは。
ある日の夜会で、競売にかけられた“人魚”の青年、ネリウスと出会う。
透明な水槽に閉じ込められた彼の瞳を見た瞬間、衝動で買い取り、匿うことを決意した。十分に回復したら帝国の外へ逃がすつもりで。
しかしこの国では“異なれば罪”。二人に帝国の秩序が牙を剥く。
見た目が違うだけで罪にされるなら、私は罪人でいい。
この腐りきった“理”ごと、ぶっ壊してやる。
──────侯爵令嬢の反逆が、帝国を震わせる。