高校2年の春。
特別なことなんて何も起きないはずの、普通の学校生活。
そんな中で俺――結城ミナの隣の席にいるのは、水瀬ユイという女子だ。
こいつはとにかく、やたらと俺をからかってくる。
授業中、休み時間、放課後。
気づけばいつも隣にいて、どうでもいいことで笑って、どうでもよくない距離で話しかけてくる。
「ねえミナ、今ちょっと意識したでしょ?」
「してない」
「絶対してた」
こんなくだらないやり取りが、なぜか毎日続いていく。
ただの友達なのか、それともそれ以上なのか。
自分でもよく分からないまま、少しずつ距離だけが近くなる。
でもユイは時々、ふざけた顔のまま、妙に真剣なことを言う。
「もし私がいなくなったら、ちゃんと寂しがってよね」
冗談みたいなその言葉が、なぜか頭から離れない。
これは、まだ名前のついていない関係の物語。
からかい合いながら、少しずつ近づいていく、二人の日常ラブコメ。