雪と祈りに閉ざされた聖教国エリュシオン。
異世界から召喚され、国の生命線である「聖女」として尽くしてきたイリスは、魔力が枯渇した途端に「偽物」の烙印を押され、処刑台へと引きずり出された。
だが、誰も知らなかった。
儚げな銀髪の美少女の中身が、理不尽に連れてこられた**現代日本のサラリーマン(男・三十路手前)**であり、その腹の底には国を地図ごと消し飛ばすほどの「呪い」と「憎悪」が渦巻いていることを。
「俺を殺した瞬間、この国も終わりだ。ざまあみろ」
処刑の瞬間、道連れに自爆しようとしたイリス。しかし、その刹那、処刑台に乱入してきた男がいた。
それはかつて国を救い、そして裏切られて幽閉されていた元・英雄、グレン。
「死んで復讐なんて安い真似すんな。――俺と一緒に生きて、このクソったれな世界を絶望のどん底に叩き落としてやろうぜ」
利害の一致した二人は、処刑台を粉砕し、雪の荒野へと駆け出す。
これは、世界に見捨てられた二匹の怪物が、世界を敵に回して暴れ回る、痛快で切実な復讐譚。
……の筈なのだが、中身が男の聖女と、粗暴な元英雄の逃亡生活は、色気よりも喧嘩ばかりで――?