伯爵令嬢リリアーナは、婚約者の王太子から「真実の愛を見つけた」という身勝手な理由で婚約破棄を告げられる。しかし彼女は涙一つ見せず、慰謝料代わりに王都の端の寂れた土地を要求し、早々に新生活を始める。彼女には、現代日本の知識という秘密があった。前世の知識と、この世界の「付与術」を組み合わせ、リリアーナは辺境の地で魔導具工房を開業。「温度が一定に保たれる鍋」や「自動で明るさが変わる照明」など、革新的な製品を次々と生み出していく。その成功は、魔導具の認可を行う審査局長、"氷の公爵"アレクシスの目に留まる。一方、リリアーナを捨てた王太子は、彼女の成功が面白くなく、様々な妨害を仕掛けてくるが、リリアーナは契約書や特許法といった「公文書」を盾に、全て冷静に、そして合法的に撃退していく。これは、書類一枚で全てを失った令嬢が、自らの知識と才覚、そして法と制度を武器に自立し、やがて不器用で誠実な愛と、国をも動かすほどの成功を手に入れる物語。
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