目が覚めると、俺は小学四年生に戻っていた。
平成十二年の春。
スマホはなくて、友達との約束は口約束。
放課後は、誰かの家に行くか、公園に集まる。
台所では母さんが朝ごはんを出していて、ランドセルは思っていたより重かった。
一周目の人生は、別に大きく失敗したわけじゃない。
ただ、勉強も、友達も、恋愛も、お金のことも、どこか適当にしていた。
もっとちゃんとやっておけばよかった。
そんな普通の後悔だけが残っていた。
だから今度は、ちゃんとやり直したい。
未来のことは、少しだけ知っている。
これから大きくなる会社も、流行るものも、ぼんやりとは覚えている。
けれど、小学生の俺が自由に動けるわけじゃない。
小遣いは少ないし、親に内緒で何でもできる年齢でもない。
それでも、平成十二年にはロト6があった。
父さんが昔、「惜しかった」と笑っていた六つの数字。
それをもう一度選んだ日から、俺のやり直しは少しずつ形を変えていく。
まずは、朝ごはんを食べて、学校へ行って、友達の誘いに乗るところから。
小さなことを変えていくうちに、友達との距離も、家族との会話も、手に入るものも、少しずつ変わっていく。
やがて俺は、一周目では見られなかった世界にも近づいていく。
未来知識があっても、青春は思い通りにならない。
それでも、戻れないはずだったあの頃から、人生をもう一度やり直していく。
※6月7日から行っていた第1話からの再編が、6月9日に完了しました。
6月10日の更新以降は、2日に1話のペースで更新していく予定です。
既に読んでくださった方も、内容や構成が変わっているため、第1話からお読みいただけると嬉しいです。
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