―推しのアクスタが、喋った!?
出雲 沙百合(いずも さゆり)は、都内で一人暮らしをしている大学生。
誰にも言えない本音を抱えながら、今日もなんとか生きている。
そんな彼女の癒しは、推し——売れないバンドマン・カルマのアクリルスタンドに話しかける時間。
もちろん相手は無機物。返事なんて返って来るはずがない――そう思っていた。
“ちいさな彼”との対話をきっかけに、彼女は自分の中に秘めていた本音と少しずつ向き合っていく。
そして彼女の"推し"——自身のバンドを壊してしまった辛い過去に囚われながらも、"表現者"として生き抜こうともがくカルマの姿も、もう一人の主人公として物語の中で静かに描かれていく。
推し活の光と影、日常に潜む"生き辛さ"、言葉にできない痛み——そして彼らの哲学。
これは、一人の女子大生と二人の"推し"が織りなす痛みと本音のドキュメント。
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