目を覚ましたとき、“わたし”は自分が誰なのか分からなかった。
ここがどこで、どうしてこんな奇妙な身体になっているのかも思い出せない。
ただ――
「お姉ちゃんに、なにかしてあげたかった」
その気持ちだけが、やわらかな残響のように胸に残っていた。
けれど、何をしてあげたかったのかは思い出せない。
お腹だけが、きゅうっとすいていく。
「……まずは、ごはん……探さなきゃ……」
むにゅむにゅと海を進むたび、水面には光の帯がのびていく。
その光が、地上の人々に“謎の大規模発光現象”として観測され、
世界のメディアは次々と報じはじめる。
やがて各国が警戒態勢をとり、ネットは大荒れ。
地球は、幼い妹の“ささやかな空腹と迷子の行動”だけで混乱していく――。
忘れてしまった“お姉ちゃんのためにしたかったこと”は何なのか。
そして、人類に恐れられながら彷徨う少女は、どんな真実へたどり着くのか。
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