「無能な制作師はいらない」――王太子のその一言で、私は婚約も地位も、そして祖国さえも失った。
王太子から無能と断じられ、婚約破棄の末に王国を追われた宮廷制作師マリカ。
彼女の作る護符は戦場を焼く力を持たない――ただ、誰かを守る力だけを宿していた。
だが彼女には、三百年ぶりに現れた特異な才能があった。
素材の“声”を聴き、その本質を引き出す力。
隣国でその価値を見出されたとき、彼女の運命は大きく動き出す。
彼女を「無能」と捨てた国と、彼女を「必要だ」と迎えた国。
守るための魔道具は、やがて大陸の均衡を揺るがす存在へ――。
追放された制作師の再生と逆転、そしてただ一人の理解者との物語。