怪異に囚われた後宮。
帝からの密命を受け、若き陰陽師の少女は女房「朝霞」として身分を偽い潜入した。彼女の正体を知るのは、上司である陰陽頭・香茂直継、そして仕える病弱な桐壺女御・光子とその女房・梅だけ。
夜な夜な響く奇妙な泣き声。香炉から立ちのぼる冷気。女房たちを次々と襲う昏倒の怪。
そして、香袋に縫い込まれた呪詛の糸と、不可解な和歌――。
次々と仕掛けられる異変に、千早の胸は高鳴る。
呪詛が編み込まれた衣を見て「上質な怨念!」と興奮し、裂け目から漏れる冷気に「美しい…!」と目を輝かせる。彼女にとって怪異とは、恐怖ではなく探求すべき最高の「謎」なのだ。
これは、術オタクの陰陽師が、雅やかな都に潜む怪異の謎を追う物語。
※本作は平安時代をモチーフにした架空の世界を舞台としています。
登場する文化・習慣・陰陽術はすべて創作であり、史実とは関係ありません。
また、ネタバレや乱暴なコメントはご遠慮いただけると嬉しいです。
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