聖女エリスは、「回復魔法しか使えない役立たず」として王国から追放された。
ともに追放されたのは、魔法学者見習いの青年・カイン。
だが旅の途中、彼は気づく――彼女の“回復”は、対象の時間を巻き戻す【時間逆行】の力だと。
死者を蘇らせ、壊れた大地を元通りにし、あらゆる絶望をなかったことにする聖女。
だがその力には、代償として“自分の記憶”が削れていくという、過酷な呪いがあった。
世界を癒すたび、彼女は少しずつ、彼を忘れていく。
ならば彼は、彼女のために、この腐った世界を壊すと決めた。
――例えそれが、“聖女に最も恐れられる存在”になるとしても。
これは、聖女を守るため、全世界を敵に回した少年の、やり直しの旅の記録である。