入居者が必ず“いなくなる”と噂された古い空き家。
調査に訪れた記者は、押し入れの奥で、一冊のノートを見つける。
湿り気を帯びた革表紙のそのノートには、ひとつの名前が刻まれていた。
ヒナ。
その名に心当たりはない。だが、どこかで呼んだことがある気がした。
読み進めるごとに、記憶が曖昧になる。言葉がにじむ。
誰の証言も、写真も、映像も、少しずつ輪郭を失っていく。
けれど、名前だけは、なぜかはっきりと“そこ”にある。
読んだ者の記憶に染み込むその名前は、いつしか、あなたの中にも——。
※本編だけでも話は完結しています
※第二部以降は各部追加のお話です