姉が婚礼直前に失踪した。家の破滅を避けるため、次女ローザは姉になりすまし、冷酷と噂される若き皇帝のもとへ嫁ぐ
ことになる。
だが初夜、皇帝ジークハルトはあっさりと見抜いた。薬草をすり潰し続けた指のまめ、わずかに違う声と仕草――。
「お前は、ヴィオレッタではないな」
処刑を覚悟したローザに、皇帝が告げたのは意外な命令だった。
「このまま身代わりを演じ続けろ」
誰も信じられない彼が欲したのは、弱みを握った“裏切れぬ駒”。
こうして偽りの皇妃の日々が始まる。やがてローザは、母譲りの知識から気づいてしまう。皇帝は緩やかな毒に蝕まれている、
と。