王太子アルベルトの婚約者、エリシア・アルヴェインは「派手な魔法が使えない無能」と蔑まれ、学園で孤立していた。
だがある日、彼女は“乙女ゲームの断罪日”——卒業舞踏会での婚約破棄・追放を、日時つきで思い出す。
生き残るには時間が足りない。
彼女が選んだのは、王国で禁じられた薬――レッド・エリクサーの製造だった。
地下の工房、相棒カイ・レインズ、闇ギルドとの取引。
男装と変声で名を隠し、裏の名義
“紅蓮の錬金術師《グレン》”
として市場を掌握していくエリシア。
やがて禁忌の“赤”は上流にまで浸透し、供給停止は国家停止へ変わる。
一方、正義を掲げる王太子は“グレン”を追ううちに、敵への感情を心酔へ、そして執着へと変質させていく。
——その天才が、最も侮辱し、最も遠ざけた婚約者だとも知らずに。