十五歳で異世界へ召喚され、八年の旅の末に魔王を討ち取った勇者・小雪。
長い役目を終えた彼女へ、王は望む褒賞を何でも与えると告げた。
財宝も、爵位も、領地もいらない。
疲れ果てた小雪が選んだのは、祝賀の席で「魔法も使えない三下」と笑われていた公爵家次男、ヴェルヴァルド・グランツだった。
「これください。助手にします」
「人を物みたいに指差すな!」
魔法は使えないが、料理も家事もでき、工学や機械に詳しいベル。
圧倒的な魔法を持ちながら、料理も生活も壊滅的で、感情さえ少しずつ摩耗している小雪。
山の家で暮らし始めた二人は、水車、滑車、ふいご、コイル――魔法に頼らない技術を一つずつ作り始める。
口は悪いが世話焼きな三下くんと、最強なのにどこか危うい勇者さま。
助手と勇者として始まった二人の関係は、少しずつ形を変えていく。
しかし、魔素が減り続けるこの世界で、なぜ百年ごとに異世界から勇者が呼ばれてきたのか。
二人の小さな文明づくりは、やがて千年間隠されてきた勇者召喚の真実と、世界そのものの存続へつながっていく。
これは、世界を救った勇者を一人の三下が救い、二人で新しい文明を作る物語。
※全71話、完結まで予約投稿済みです。序盤は複数話更新、以降は毎日21時10分に更新予定です。
※カクヨムにも掲載しています。