「もう、全部どうでもいいんだ」
王国の宮廷魔術師として十年間、寿命を削りながら「絶対防壁」を維持し続けてきた青年・ルーク。しかし、彼を待っていたのは感謝ではなく、第一王子からの追放宣告と、婚約者アリアの裏切りだった。
「無能」「陰気」「地味」――。
罵倒を背に、ルークは決意する。これまで国を縛り付けていた執着を捨て、自分のためだけに生きることを。
辺境の森に引きこもったルークが始めたのは、魔法を惜しみなく使った「究極の快適スローライフ」。
土魔法で大豪邸を建て、生活魔法で古代のロストテクノロジー(洗濯機)を再現し、伝説の魔竜を番犬として手懐ける。さらには「温泉」と「至高のスイーツ」で、迫害されていたエルフや獣人、果ては大国の王女までをも虜にしてしまう。
一方、ルークを失った王国は、防壁が消えたことで魔獣に蹂躙され、崩壊の一途を辿っていた。今さら戻ってきてくれと泣きつかれても、もう遅い。
「僕はただ、美味しい紅茶を飲んでのんびりしたいだけなんだ」