「治すな。今、光を当てたら――この男は死ぬ」
傷は癒え、骨は繋がり、英雄は何度でも戦場へ戻される。回復魔法が万能とされる異世界。
そこに転生した俺は、なぜか治療魔法が使えなかった。できるのは、触れて、押して、待つだけ。
だがその“地味な治療”は、魔法では戻らなかった人間を、確かに生かしてしまう。
そして俺は気づく。この世界の治療は、人を救うためではなく――壊れる前提で使い潰すための仕組みだと。
英雄を量産する神殿。使い捨てられる若者たち。善意で回る、壊れた世界。
俺は革命を起こさない。声高に否定もしない。ただ、壊れる前に止めるだけ。
正しいことをして村を追放され、「異端」と名指され、それでも歩く。
これは、「治さない方が正解だった」ひとりの治療師の、静かな異世界譚。
――第一部は、そこで終わりました。
彼は何も残しませんでした。名乗らず、教えず、体系にもしませんでした。
けれど、残さなかった場所には、別の誰かが、それらしいものを置いていきます。
第二部。彼のやり方に、名前がつきます。「待ちの作法」。
広めているのは、善意の、有能な、まじめな治療官たちです。
その作法は、一語だけ間違っています。
――その一語で、人が死にます。
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第一部・全46話
完結/第二部
連載中(第49話〜)。
第一部だけでも読み切れます。安心してお読みください。
派手なバトルやざまぁ、恋愛要素はありません。
「最強」や「無双」ではなく、“止まること”を選んだ主人公の物語です。
静かな読み味・思索的なヒューマンドラマがお好きな方へ。