私の夫は、とても誠実な人だ。
心から愛する人が他にいるというのに、私にとても優しくしてくれるし周囲からの評判も悪くない。
「良い旦那さま」
「とても誠実な旦那さま」
けれど夫は、夜会の場では愛する人から絶対に目を離さない。熱い視線を向け、いつまでも見つめ合っている。
中にはその様子をあまり良く思っていない人もいるけど、夫も相手の方も“ただ熱っぽく見つめ合っている”だけ。
言葉も交わさず、内緒で密会などもしない。
だから私は、私たちはひたすら耐え忍びそして祈るしかない。
「彼らが不誠実になってくれますように」と。
※架空の世界観です。身分制度や国の在り方など、現実とは異なります。