「家柄しか取り柄がない退屈な女」
——婚約披露の夜会で、侯爵令嬢アリシアは衆人環視の中、婚約者から一方的に切り捨てられる。
実家にも疎まれた彼女が相続したのは、痩せ細った辺境グレンツェ領。爵位もなく、誰もが見捨てた荒れ地だった。
だがアリシアには、社交界では「無用」と笑われ続けた、経済と農学の知識があった。毒草と恐れられた花を極上の染料へと変え、用水路を拓き、行商人や寡黙な騎士団長と手を取り、寂れた村は少しずつ息を吹き返していく。
やがて彼女は、領の荒廃の裏に潜む巨大な陰謀と、王国の影たる黒幕へと行き着く——。
剣ではなく知恵と信頼で運命を覆す、追放令嬢の静かな逆転譚。