気づけば、異世界の街の木の下で目を覚ましていた。
名前は――アキラ。それ以外、何も思い出せない。
でも、手の感覚だけは確かに残っていた。
物を作るのが好きだった。
何かを直すと、心が落ち着いた。
ここは、魔法が当たり前に存在する世界。
13歳になると「魔力量」が測定され、16歳の《魔法の儀式》を経て、
正式に魔法が使えるようになるという。
俺の魔力量は、規格外の《1000超え》――なのに、魔法が一切、使えない。
チヤホヤされ、突き落とされ、それでも俺は思い出す。
俺は、“作ること”が好きだったんだ。
これは、魔法を使えない少年が、祈りと想いを刻んだ“手”ひとつで、
道具に命を吹き込み、世界に小さな奇跡を届けていく物語。
魔法の世界の住人、魔法が使えず、今これ。