この世界なら、誰とでも繋がれる。『オール・アローン・ワールド』は、幻想的な世界で、戦わなくてもいい、ただ歩いているだけでもいい、何にでもなれる自由度の高さから国内外、老若男女問わず流行していた。そんなゲームを配信開始からプレイするヒナタは、特定の友人をつくることなく一人でゲームをするソロプレイヤー。やれることはやり尽くし、少し飽きてきたところ、福山田源三(ふくやまだげんぞう)──今年70歳になる初心者プレイヤーと出会う。孫がオール・アローン・ワールドにハマっており、一緒に遊びたいが足手まといになりたくない福山田は、孫に内緒で特訓を試みていた。しかし、ゲーム機すら初めて触る福山田は、壁にぶつかり一番弱い敵には倒され、中に人がいない──ゲームの中のパソコン設定のキャラクター(NPC)を人だと思い延々と話しかける始末。見かねたヒナタは福山田のフォローをしていくが、ヒナタが当たり前に見ていた景色は、福山田や彼を支える中での出会いと別れを経て、徐々に変わっていき──。
※1話ずつ単独で読める形式です。