公爵令嬢シェリルは、王太子ジュリアンから婚約破棄を言い渡された。
隣で勝ち誇る聖女リナと、冷ややかな周囲の目。しかし、シェリルは扇子の裏でほくそ笑んでいた。
(これでやっと、あのご飯が食べられる……!)
前世・日本人の記憶を持つ彼女にとって、冷めきったテリーヌや味のしないスープばかりの王宮生活は拷問だったのだ。
喜んで追放されたシェリルは、路地裏の廃屋を改装し、念願の定食屋『月待ち食堂』をオープンする。
ツヤツヤの塩むすび、肉汁溢れる唐揚げ、出汁の染みたおでん……。
シェリルが振る舞う「前世の味」は、やがて匂いに釣られたとんでもない客たちを引き寄せていく。
最初に現れたのは伝説の聖獣(猫)!?
さらには「鉄仮面」と恐れられる騎士団長や、偏屈な筆頭魔術師までもが、シェリルの料理に胃袋を掴まれて骨抜きに!?
一方、シェリルを追い出した王太子は、聖女が作る「健康志向すぎる(味がしない)手料理」に痩せ細り、絶望していた。
「やり直したい」と今さら泣きつかれても、もう遅い。
私の店は、最強の常連客たちで満席ですので!