「王妃の座を、お降りなさい」——王太后にそう言われて、レティシアは生まれて初めて「お断りします」と答えた。
婚約破棄され、悪役令嬢と呼ばれ、静かに王城を去った女。その彼女が今、王妃として玉座の隣に立っている。
追い出しにかかったのは、夫の母——王太后アデライド。「王妃に能力は要りません。必要なのは、血と、静けさです」
社交も、儀礼も、人事も。次々と打たれる手を、レティシアは静かに読み解いて、一つずつ潰していく。
そして夫は、実の母を前にこう言った。「彼女に向けられた圧は、そのまま、私への圧です」
かつて彼女は、いつも黙って身を引いてきた。だが今度だけは引かない。引けば、夫と交わした「対等であること」の約束を破ることになるから。
静かに、正面から黙らせる話が好きな方へ。無口な王が、母ではなく妻を選ぶ話です。
※派手なざまぁはありません。制裁ではなく、理解で決着します。
※前作『婚約破棄された悪役令嬢ですが、国が回らなくなったので第二王子に引き取られました』(全52話・完結済)の続編ですが、本作から読み始めても分かるように書いています。