王太子レオンハルトに、祝宴の真ん中で婚約破棄を告げられた伯爵令嬢エリス。
理由は「数字しか見ない地味な女だから」。
王太子の隣では、聖女リリアナが「愛に勘定は不要です」と微笑んでいる。
けれどエリスには見えていた。
王宮の祭典費。孤児院への未払い補助金。辺境防衛費の横流し。
そして、彼女が私費と実家の信用で支えていた王宮財政の赤字。
前世はブラック企業で過労死した経理担当。
今世では《帳簿視》という地味な加護を持ち、契約・金・魔力・物資の流れを数字で読むことができる。
「承知しました。では、わたくしが止めていた赤字もお返ししますね」
婚約破棄されたエリスは王宮を去り、王都の古い魔導具修理店へ。
そこで凍える孤児院の暖炉魔導具を直したことから、彼女の能力を必要とする辺境伯と出会う。
一方、王宮はエリス不在で急速に傾き始める。
これは、数字しか見えないと笑われた令嬢が、自分を粗末に扱う場所を捨て、壊れた魔導具と領地と人生を黒字にしていく物語。