卒業舞踏会の夜、伯爵令嬢ミレイユは婚約者である王太子アルベルトから、証拠も理由も告げられぬまま、衆人環視の中で婚約を破棄された。
——その瞬間、何かが弾けた。
『おっとここで王太子、全国放送級のやらかしだー!』
頭上から降ってきたのは、自分自身の声。
止まらない。制御できない。心の中で思ったことが、そのままダダ漏れで周囲に聞こえてしまう。
これが、ミレイユに覚醒した異能——通称「実況スキル」だった。
しかも異様に的確。
宰相の賄賂を暴き、軍議に紛れ込んだスパイを炙り出し、二十年続いた国際問題まで解決してしまう。
本人は止めたくて必死なのに、実況は今日も容赦なく真実を垂れ流す。
民衆はミレイユを「実況令嬢」と呼んで熱狂し、悪事を働く者たちは震え上がり、婚約破棄をした元王太子の人生は着々と終わっていく。
そして無表情で超真面目な近衛騎士団長クロードは、振り回されながらも実況の正確さを信頼し、少しずつミレイユの隣に近づいていく。
——これは、心の声が止まらない令嬢が、笑いと混乱と真実の連鎖の中で、自分の声と生き方を受け入れていく物語。
コメディあり、ざまぁあり、じわじわ育つ恋愛あり。
実況は今日も、全力で暴き続ける。