辺境の村に生まれたシャルロットは、珍しい治癒の能力を持っていた。仲の良い家族と日々を楽しく暮らし、時折頼まれれば力を使って怪我や病を癒す。そんな幸せな毎日がずっと続くのだと思っていた──規格外の力の噂を聞いた神殿に、無理やり攫われるまでは。
連れてこられた神殿に住む他の聖女たちは貴族出身者ばかりで、平民のシャルロットをあからさまに見下している。押し付けられた雑務で休む暇もなく、誰よりも強い治癒の力は他の聖女の功績として搾取されるのみ。自らの立場を固めるために、王子たちまでちょっかいをかけて来て……。
それでも決して諦めず前に進み続けるシャルロットの前に、大怪我をしたひとりの青年が現れる。『この人を助けたい』自然とそう思えたのは、家族以外で初めてのことだった。青年の提案に乗り、とうとう神殿を逃げ出したシャルロット。家族と再会する日を夢見て今まで耐えてきたのに、彼との旅路が楽しすぎて……もうすこしこの時間が続けばいいのにと願ってしまう、この気持ちはなんだろう?
困難な状況に置かれながらも負けずに努力し続けていたら、いつの間にかとんでもない人と恋をしてあれよあれよと大逆転の幸せを勝ち取ってしまう平民少女のサクセス(&ラブ)ストーリー。