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公爵令嬢エステル・オルブライトは《女神の寵愛》という恩寵(ギフト)を持っていた。
「エステル、君との婚約を破棄する!」
しかし婚約者の王太子にその力は偽物だと言われ、婚約破棄されてしまった。
エステルは偽の聖女であり、見ず知らずの男爵令嬢こそが真の聖女であると宣言された。
「やったぁ! これで自由に冒険者稼業ができる!」
だが、エステルはその婚約破棄に喜んだ。
実は彼女にはもう一つの顔があった。
巷で噂のS級冒険者、エストとしての顔が。
彼らは知らなかったのだ《女神の寵愛》の本当の力を。
その力は他者に使うと効果がなかっただけで、エステル自身に使うと十倍の効果を持っていた。
治癒魔法を自分に使えば、千切れた腕も再生し、強化魔法を自分に使えば、身体は鋼鉄のような硬さと強さを持つ。
これからはもう妃としての勉強をしなくていいし、窮屈なドレスも着なくていい!
婚約破棄、最高!罪を償えというなら冒険者としてその責務を果たしましょう!
……でも正体はバレると面倒なので、今までのように素顔も性別も、あと能力も隠して行いますけど。
優秀な冒険者仲間の勧誘を受けつつ、楽しい冒険者ライフを満喫していたのに……え? 王国騎士団のお兄様から私の捜索依頼? 元婚約者の護衛依頼!? なんで???
公爵令嬢エステルはS級冒険者エストとして自由に生きていこうとしていたが……何故かエステルをよく知る正体がバレたくない人々に、エストとして会うことになってしまうのだった。
【この小説はカクヨムでも掲載しています】