俺のオヤジは最強の勇者だった。剣術、魔術、そのすべてが規格外。魔王城を一撃で吹き飛ばし、魔族を根絶やしにしたオヤジを、世界中の人々が熱狂して称えた。
……だが、強すぎたんだ。
敵がいなくなった途端、世界は掌を返した。「平和な世界に勇者は不要」だと。
オヤジが病で世を去ると、残された俺への待遇は悲惨なものだった。かつての栄光は泥にまみれ、伝説の聖剣は王宮のパーティーで「ケーキを切るための道具」にまで成り下がった。
――もう、正義なんてクソ喰らえだ。
失意の底で俺が見つけたのは、絶滅したはずの魔族の生き残り。……そして、魔王の忘れ形見。
俺は決意した。この子供を最強の魔王に育て上げ、再び世界を暗黒の闇に包み込んでやると。
「魔王が復活すれば、奴らはまた俺たちの前に跪くはずだ」
これは、勇者を廃業した男が、漆黒の騎士ヴェイルとして「魔王軍のパパ」をやりながら、自分をバカにした世界へ最高のリベンジを仕掛ける物語。