ニーナには前世の記憶がある。
最低な親のもとに生まれ、逃げ出した先で事故に遭い、命を落とした記憶が。
生まれ変わった今世。「聖女」として覚醒したニーナを待っていたのは、大金と引き換えにあっさりと自分を売る親の姿だった。
二度も「親ガチャ」に失敗したニーナは、それでも強く誓う――今度こそ、自分のための人生を生きると。
そんなニーナの前に、「公爵家の至宝」と名高いオリヴィエが現れる。
完璧であるはずの彼もまた、「公爵家の道具」であることに苦しんでいた。
オリヴィエは、ニーナの「共犯者」になると告げる。
地位も、名誉も、名前さえも――すべてを捨てた公爵令息が選んだのは、ニーナとともに王都から逃げることだった。
――けれど、幸せは長くは続かない。
「あるべきところへ戻る」と、顔も上げぬまま別れを告げたオリヴィエ。
ニーナはもう一度、心に誓う。
自ら捨てたはずの「聖女」の力を使ってでも、たった一人の大切な人を取り戻すことを。