三十八歳、元市営動物園の飼育員・神崎悟。ダンジョンが出現してから五年、世界はずいぶん変わってしまった。勤めていた動物園が閉園になり、悟は今や自分でちょっとした「魔物保護施設」を営んでいる。
探索者には用のない弱い魔物、怪我をして逃げ出した魔物、なぜかダンジョンから出てきてしまった迷子の魔物。そういう連中が、なぜか悟の施設に集まってくる。
「まあ、うちはそういう場所だし」
怖いものは何もない。動物の扱いにかけては人後に落ちない。今日もお茶を飲みながら、悟は魔物たちの世話をする。ダンジョン全盛時代の片隅で、静かにのんびりと。