アメリカ建国250年おめでとうございます記念小説です。
欧州の吸血鬼貴族ヴァレンシュタイン家に転生したルカは、始祖の血を濃く継ぐ「真祖の中の真祖」だった。
霧化、影操作、自己再生、記憶読取、そして前世の記録から現代の物品や情報を引き寄せる力。
無法なまでのチートを持って生まれたルカだったが、両親の価値観は最悪だった。人間牧場、血統管理、血の風呂。現代日本人の感覚を残すルカは、その吸血鬼貴族らしい悪趣味な支配に心底ドン引きする。
やがて両親は吸血鬼ハンターに討伐され、ルカはひとつの結論に至った。
「安全で、豊かで、合法的に血を分けてもらえる寄生先が欲しい」
目を付けたのは、将来の世界最強国家――アメリカ合衆国。
しかし時は一七六三年。七年戦争が終わったばかりで、アメリカはまだ存在しない。そこにあるのは、税、土地、通商、奴隷制、衛生不良、借金、不満、そして本国との摩擦を抱えた十三の植民地だった。
未来の超大国に寄生するつもりで新大陸へ渡った真祖吸血鬼は、フィラデルフィアの悪臭に叫び、石鹸を売り、フランクリンと手を組み、ワシントンに石鹸を軍需品として見られ、国家という巨大な要メンテ物件の現実に頭を抱える。
これは、怪物になりきれなかった真祖吸血鬼が、合法的な血液供給のために、建国前のアメリカを公衆衛生と帳簿と運用保守で少しずつ整えていく物語。
カクヨムハーメルンにも掲載してます。