「――大丈夫か?」
絶望の底にいたアリーチェは、雨上がりの裏路地で一人の青年と出会った。
山間の小さな村で、ぶどう農家を営む家族と共に平穏に暮らしていた少女、アリーチェ。少しばかり罠猟と勉強が得意な、人当たりの良いどこにでもいるような女の子。特徴といえば、星屑を落とし込んだような黒い瞳。
そんなアリーチェの平穏な日々は、姉ルフィナの駆け落ちをきっかけに一変する。借金か奉公かの選択を迫られ、奉公を選んだアリーチェだったが、色々なことが重なり、故郷から遠く離れた場所で独りぼっちとなってしまう。
故郷への帰還を目標に奮闘するアリーチェだったが、裏路地での青年との出会いをきっかけに、様々な巡り合いがアリーチェを思いもよらぬ運命へと導いていく。
果たして、アリーチェは無事に故郷へ帰ることができるのだろうか……。
これは、少女が困難に立ち向かいながら成長し、帰郷を目指す物語である。
【第一部】 第一章〜第四章まで
【第二部】 第五章〜