「私はどうしても、初恋の『剣姫』が忘れられない。だからあと半年、結婚を延期できないだろうか? 心の整理がついたら、必ずアリスだけを大切にするから」
若き侯爵エイルマーが、命の恩人を捜す目的で結婚の先延ばしをしたのはこれで二度目だ。
それでもアリスはいつか、エイルマーと幸せになれると信じていた。
事件のショックで記憶の一部を失った彼にはまったく信じてもらえなかったのだが、エイルマーが恋い焦がれる相手はアリスだからだ。
そう思っていたのだが、どうやらエイルマーには剣姫の正体を突き止める秘策があるらしい。
彼にとってアリスは、いつ捨ててもかまわない都合のいい『保険』の婚約者でしかなかった。
都合のいい言葉でアリスを『保険』にしているエイルマーが、真実にたどり着き、アリスを愛するようになっても、まったく嬉しくない!
それに気づいたアリスは、正体がバレる前に婚約者と別れ、特技の剣術で生きていくことを決意。すると第二王子にして騎士団長でもあるハーヴェイから、妹王女の護衛騎士にならないかと誘われて……。