公爵令嬢エレノアは、未来の王妃となるべく自らを殺し、完璧な淑女を演じ続けてきた。しかし、聖女と謳われる男爵令嬢リリアナの登場によって婚約者である王子の心は奪われ、身に覚えのない数々の罪を着せられたエレノアは、断罪の末に処刑台の露と消える。
――はずだった。
次に目覚めた時、彼女はまさにその王子から「お前との婚約を破棄する!」と突きつけられた、全ての悲劇が始まった瞬間に逆戻りしていた。
処刑台で抱いた、灼熱のような後悔。
国の為、王家の為に自分を偽り続けた結果がこれなら、もうたくさんだ。
「ええ、喜んで。その婚約、破棄させていただきますわ」
「完璧な妃」の仮面を脱ぎ捨て、エレノアは決意する。
封印していた知識と未来の記憶を武器に、二度目の人生は、誰かのためではない、”私自身”のために生きると。
これは、全てを失った悪役令嬢が、偽りの自分と決別し、自分を陥れた巨大な陰謀に立ち向かいながら、本当の幸せと人生を取り戻す物語。