この世界では、十五歳になると“スキル”という生まれ持った力を授かり、それによって人生がほぼ決まる。強力なスキルを得た者は王族や上級貴族の道を進み、弱いスキルしか持たぬ者は、最底辺の暮らしを余儀なくされる。努力も、夢も、すべてスキルの格付けで断ち切られる世界――。
辺境の村に生まれた少年、カイ=アマギは《リピート》という奇妙なスキルを授かる。直前に使用した魔法を再発動できるだけの、一見使い道のない“はずれスキル”。スキル社会に見切りをつけられ、学園では最底辺の「Fクラス」へと追いやられる。
だが、カイには他の誰とも違う視点があった。――彼は、かつて“地球”という世界で生きていた転生者だったのだ。努力こそが人生を切り拓くと信じていた彼にとって、スキル至上主義のこの世界は、あまりにも歪んでいた。
絶望と諦めに染まるFクラスの中で、カイは《リピート》の本質に少しずつ気づいていく。魔力消費は極小。発動にはタイムラグがあるが、それを戦術に組み込めば武器になる。そしてある日、王族でありながらスキル信仰に疑問を抱く少女――アリステア=ルクレイン第三王女と出会うことで、物語は大きく動き出す。
やがて訪れる、大事件。絶体絶命の中、とっさにカイが放った第二の《リピート》が奇跡を起こす。それはこの世界の理にすら迫る、禁忌の力の目覚めだった。
だが、これは始まりに過ぎない。
この世界では、全ての人間が十五歳になると“スキル”を与えられる。それは「天からの理」だと信じられてきた。だがその理の背後には、王族すら知らぬ闇がある。
「人生はスキルで決まるなんて、おかしいと思わないか?」
これは、努力こそが人の価値を決めると信じる異端の少年が、仲間たちと共に、世界の常識と真正面から戦う物語。
――はずれスキル《リピート》。
だが、繰り返しの先に、唯一無二の最強があった。