フィオ王国の片田舎に生まれた双子の妹――コロン・コロンダ。
しかしこの国では、双子は「忌み子」と呼ばれ、不吉の象徴とされていた。生まれてすぐに父に捨てられ、離れに押し込まれた彼女は、三歳になるまで歩くことも喋ることもできなかった。
だがある日、突然思い出す――前世の記憶を。彼女は日本のトップアスリート、オリンピック候補選手だったのだ。「私は、また走りたい」
放置育児を生き延びた少女は、誰に教えられることもなく体を鍛え、
枝一本でフェンシングの技を再現し、周囲を驚かせていく。
やがて王都の騎士学校へ進学したコロンは、剣術も魔法も貴族の礼儀も知らぬ落ちこぼれから、「走る風の令嬢」と呼ばれるまでに成長していく。
貴族社会の偏見、友情と別れ、初めての実戦、そして……。転生令嬢は異世界の風を切り、今日も走る。「私は走る。誰にも止められない」
コロン様主催『アフォの祭典』企画参加作品の加筆版です。