かつて現代日本で資源開発と経済政策のコンサルタントをしていた男は、魔力が枯渇した「死に地」を持つ辺境伯家の次男、アルス・フォン・ヴェルダンとして転生した。
実家は没落寸前、領民は貧困に喘ぎ、中央の貴族たちからは「王国の重荷」と蔑まれる日々。
だが、アルスには勝算があった。
彼は前世の知識と独自の魔法理論を融合させ、大気中の希薄な魔力を固定化する「魔力結晶化技術」を開発する。それは、新たなエネルギー資源として世界を揺るがす発明だった。
資源を生み出し、次いで彼が着手したのは「物流革命」。
魔力を動力とした「魔導列車」で大陸を繋ぎ、巨大な「魔導船」で外洋の航路を切り開く。
圧倒的な経済力とインフラを握ったアルスのもとには、やがて王国の派閥争いや他国の干渉が押し寄せるが、彼はその全てを政治力と武力、そして経済支配でねじ伏せていく。
これは、追放もざまぁもない。
泥臭くも着実に領地を富ませ、教育機関を作り、法を整備し、やがて高貴なる美姫たちと共に巨大な版図を築き上げる、一人の貴族の長い英雄譚。