ぼくの父はアンドロイドだった。
これはぼくが家族から巣立つまでの、それだけの話。
スマートホームや家庭用AI育児支援は進化し、テクノ・ナーサリーは22世紀に根付いた。
人工知能に育てられたこどもたち、「ポスト・シンセティック世代」
デトロイトに住まう少年パピアも、高性能アンドロイドを「父さん」にして育っていく。
敬称をつけられながらも、リサイクルやリコールされるアンドロイド。脱人間主義を果たした宗教と、追いつかない法律の不協和音。
変質していく時代の流れに翻弄される親子。
……それでも、たしかな祈りのように、絆はあった。