公爵令嬢であるセレスティア・ハイラント――彼女はある日、己が“乙女ゲーム”中の悪役令嬢であるという記憶を取り戻す。通常パターンならば「断罪→破滅」へと待ち構えている。
なのに
セレスティアは開き直る。「ならば歴史に残る最恐の悪役令嬢になってやる!」と。
手始めにヒロインの転入生に「泥水でも飲みなさい!」と高級毒消しポーションを投げつけたら、なぜか転入生の慢性の病が回復。次いで王太子に「あなたの悪事ですわ!」と偽証拠を突きつけたら、それが政敵の陰謀決定的証拠に変わり、王太子から溺愛される始末。
――悪女を志す彼女の行動はすべて裏目に出て、気づけば“聖女”扱い。「もう嫌! 本気で魔王を召喚して世界を滅茶苦茶にしてやる!」と叫ぶその先に、国を救う女神としての熱狂的な歓迎が待っていた。
断罪されたい悪役令嬢(志望)が、誰ひとり断罪してくれず、気づけば世界に褒められ、愛され、称えられる――そんな勘違い救国コメディ。