甲子園に出るだけなら難しくない。
神代怜司が目指したのは、その先だった。
高校三年間、公式戦無敗。甲子園五連覇。
中学最後の夏の大会を前に、神代怜司は突然、野球部を辞めた。
才能がなかったからではない。
むしろ逆だった。
投げて、打って、守って、走る。
何をやらせても全国トップクラス。
そんな神代が次に始めたのは、全国から8人の選手を集めることだった。
誰よりも速い球を投げる投手。
数字以上に打者を圧倒する左腕。
試合の流れを読む頭脳。
野球技術が追いついていない身体能力の怪物。
神代だけが見抜いた才能を集め、育て、一つのチームを作る。
舞台は、新設校・蒼凛学園。
目標は甲子園出場――ではない。
高校三年間、公式戦無敗。
五度の甲子園、そのすべてで優勝すること。
「できるかどうかじゃない。どうすればできるかを考える」
すべてを計算し、勝つための答えを求め続ける神代怜司。
だが、彼の計算通りにならないものが一つだけあった。
――人間だった。
これは、勝つことなら誰よりも知っている少年が、
仲間と高校野球を知り、やがて本当の「王」になっていく物語。