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取得日時> 2026-04-04 18:09:19
才能なしと追い出されましたが、辺境で魔導書工房を始めます。──なぜか王国最高位の魔術師が、うちの工房に来るのですが?
名門魔法師一家に生まれながら、魔力をうまく「飛ばす」ことができない──。攻撃魔法も治癒魔法も使えないイリスは、二十歳の春、家を出るよう告げられた。
「魔法が使えない者に、魔女の名は名乗らせられない」
それでも、イリスには一つだけ人と違うことがあった。
本に触れると、魔力が「吸い込まれるように」馴染んでいく感覚。
辺境の森の外れに小さな工房を構え、イリスは魔導書の製本を始めた。
羊皮紙の選定から魔法インクの調合、糸綴じの角度、表紙の革に刻む文様──すべてを手作業で、一冊ずつ。
気づけば、イリスの工房が作る魔導書は「効果が段違い」と噂になり、王都の魔術師たちが辺境まで足を運ぶようになっていた。
そして──ある朝、工房の扉を叩いたのは黒外套に身を包んだ男。
「……一冊、頼みたい」
不愛想で、目が鋭くて、どう見ても普通の客ではない。
後から知ったのだが、彼はライナルト・クロイツ──王国に七人しかいない「大魔術師」の一人だった。
なぜ、そんな人が私の工房に?
最初は月に一度だった来訪が、週に一度になり、気づけば週三になっていた。
本を選ぶとき、彼はいつも棚の前で長い時間をかける。急かさず待っていると、ぽつりと言う。
「……あなたが作った本は、なぜか読みやすい」
魔女の仕事は本を作ること。恋なんて考えていなかった。
でも、静かな工房に差し込む夕陽の中で、彼の横顔を見るたびに──なぜか、もう一ページ、時間が増えればいいと思ってしまう。
本と魔法と、ちょっとだけ不器用な二人の、スローライフ恋愛ファンタジー。

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