国民国家と科学は、何故異世界でも強いのか? それは自然に根拠するからである。
ワイバーンを操り、空を舞うエルフと地を駆けるケンタウロスが支配する剣と魔法の世界。地べたを這い、足も遅いヒトや亜人は劣等種として扱われていた。ある日、主人公のリアムが住む村は何者かの襲撃を受ける。
その夜、悲嘆に暮れる彼に前世――国防省教育研究幹部としての記憶が蘇った。
彼の前世にとって、異世界ファンタジー世界に蔓延る専制と隷従、圧迫と偏狭は、永久に除去すべきものであったのだ。
自由主義国家の准将であった彼の正義感と近代的知見は、大変に『洗練』されていた。リアムは、この世界に科学と平和、正義と秩序をもたらし、専制と隷従、圧迫と偏狭を駆逐し、諸種族が恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存できる社会を構築せんと立ち上がる。
エルフの商人、カタリナに拾われて以降、自然科学と法学、洗練された軍事的知見を振り回し、この世界に変革を起こそうとするリアム。しかし、彼の行動は方々に敵を生み、彼が豊かにした街は周辺諸侯から狙われ、ついには2000騎を超える軍勢を誇るフランシア家から襲撃を受ける。対するリアムが用意できた部隊は、たったの3コ中隊600名。
それを凌いだかと思えば、今度は自らの生産革命が招いた経済戦争が幕を開ける。
彼は自己を生存させ、理想の近代国家を築くことが出来るのか。
異世界に近代国民国家を創る、本格派異世界戦記。開幕。
この物語には以下の要素が含まれます。
・重化学工業を基調とする健康で文化的な生活。
・いともたやすく行われる三重結合の切断。
・巨人の肩にフリーライドする事による知識的優勢の獲得。
・幕僚活動。
・屎尿処理。
・薬物、性病の蔓延。
・急速な近代化による歪曲と衝突。
・近代法秩序の強引な執行。
・行政警察活動。
・司法警察活動。
・警備警察。
・統一規格の絶大なる威力。
・剣と魔法の世界への火器と科学の文化レベルでの持ち込み。
・ハーバーボッシュ法とオストワルト法の使用による無煙火薬の大量生産。
・種族間格差。
・号令と火力溢れる戦闘。
・戦略・作戦・戦術
・血腥い描写。
・屍の山。
・警察予備隊、保安隊、自衛隊。