「無能」「足手まとい」
そう罵られ、勇者パーティを追放された少年・カイル。
しかし追放の衝撃で、失っていた“前世の記憶”と“力”を思い出す。
————カイルはかつて世界を二度救った禁呪の継承者だった。
隠されていたステータスが解放され、魔力量は国家単位の兆レベル。
戦闘も回復も創造も——すべてが世界ランク。
だが本人は冷静だった。
「勇者じゃなくてもいい。俺は俺の幸せを取り戻すだけだ」
行き倒れ寸前の女騎士リア、捕らわれの魔法少女ミナ、暗殺者として売られた獣人少女フィア。
弱き者を救うたび、仲間も名声も自然と集まっていく。
そんな折——。
勇者を中心とした旧仲間たちが、魔王軍に壊滅させられ、国が崩壊寸前となる。
そして土下座し、涙ながらに叫ぶ。
「戻ってきてくれ……頼む、カイル……国を救ってくれ……!」
だがカイルは静かに告げた。
「今さら遅い。俺は俺を選んでくれた仲間のために戦う」
――世界の命運を賭けた戦いの幕が上がる。