「陛下には禅譲していただきます」
魔帝討伐から凱旋した勇者アルトロを玉座の間で出迎えた国王ルーベンスに向けて放たれたまさかの言葉。
魔族と人類の戦争中、戦争に消極的な姿勢だったことに加え、隣国との外交で不在中に王都が魔帝軍に襲撃されるという大失態から国民、重臣、そして孫娘にも見限られた挙句の果てに野心猛々しい勇者に国を乗っ取られた彼。
失意の中、粗末な馬車で運ばれた先は貧民たちが細々と暮らす、廃れた鉱山村だった。
勇者の『温情』により辛うじて野垂れ死にを免れたルーベンスは国王としてのプライドを投げ捨て、片腕の元女傭兵や遠国の難民に人狼族の暗殺者、挙句には太古の封印から蘇った龍人などの個性豊かな村人たちと一緒に今日を生きるべく協力する。
一方、王位を奪ったアルトロたちは、冒険者パーティの仲間達や捕虜にした魔帝の娘を官僚に据えて王国の復興を計画。
主要な交易路の復旧工事をはじめ、先々代から付き合いのあるアレハンドロ帝国との外交など、不慣れながら国益を守るために行動する。
しかし、復興に勤しむ彼らをあざ笑うように、大陸支配を目論むアレハンドロ帝国は国家の窮状につけ込む形で謀略を巡らせていく。
魔帝討伐から始まる内政物語。