「陛下には禅譲していただきます」
魔王討伐から凱旋した勇者アルトロを玉座の間で出迎えた国王ルーベンスに向けて放たれたまさかの言葉。
国民、重臣、そして孫娘にも見限られた挙句の果てに国を乗っ取られた彼が粗末な馬車で運ばれた先は難民たちが細々と暮らす、廃れた鉱山街だった。
勇者の『温情』により辛うじて野垂れ死にを免れたルーベンスは国王としてのプライドを投げ捨て、村人達と協力して今日を生きるために老骨に鞭を打つ。
一方、王位を簒奪したアルトロたちも国内の統治や諸侯の統率、そして隣国の対応に奔走し…