一族からは「変なやつ」と呼ばれ、書物の中の「人間」だけが俺の全てだった。
あの夜、窓の向こうに見た温かい光景に焦がれ、俺は人間になるための魔法の勉強を始める。
だが、森で出会った少女アンナに「ゴブスケ」という名前をもらった瞬間から、俺の運命は変わり始める。
人間とゴブリン、二つの世界から追われる絶望の旅。
気難しい二人の師と、二人の悪友との出会い。
そして、世界を揺るがす大戦争。
これは、ただのゴブリンだった俺が、多くの出会いの果てに「俺はゴブスケだ」と胸を張って名乗るまでの、長い長い旅の記録。