一万年の闘争。それは、神が仕組んだ終わりのない円舞曲(ワルツ)だった。
帝国主義を掲げる超大国「レガリア帝国」と、民主主義の旗を掲げる「フロンティア連合」。
起源を一つにしながらも、民族、宗教、思想の果てなき衝突により、世界は十世紀もの間、硝煙と鉄の軋みに支配されてきた。
帝国歴4999年。
その均衡は、一発の禁忌――「戦略核兵器」の投入によって崩壊した。
標的となったのは、中立の理想郷アマガハラ。
一瞬にして焦土と化した亡国の地下深く、一人の少年が産声を上げる。
名は、アカツキ。
闘争を終わらせるために、胎児の段階から遺伝子を書き換えられた半人造人間。
感情を知らず、自らを「破壊の道具」と定義する彼は、純白の騎甲殻『スノーホワイト』を駆る。
しかし、戦場には過酷な運命が待っていた。
平和を渇望しつつも撃墜王として君臨する連合の大佐、レイカ。
戦争主義者の仮面を被り、帝国の内側から変革を企てる大佐、リリス。
そして、アカツキを導く謎の少女、アキハ。
鋼鉄の巨神「騎甲殻」が舞う戦場で、少女たちの信念と少年の空虚が交錯するとき、運命の歯車は狂い始める。
果たして少年は、人の心を知りながら、呪われた円舞曲を止めることができるのか。
それとも、世界そのものを破壊する「破壊神」へと変貌するのか――。
今、亡国から飛び立った白き翼が、絶望の空を切り裂く。