王都、その王宮の大広間。
数多の文官や騎士たちが見守る中、ひとりの青年が跪いていた。
名はディラン・アークレイン。
黒髪に琥珀の瞳、質素な黒衣。外見は平凡だが、彼の放つ魔力の濃さは異様なまでに重く深い。
人々は彼をこう呼んだ。「最強の闇魔法使い」と。
だがその力は、王国にとっては恐怖の象徴にすぎなかった。
「ディラン。お前の闇魔法は強大すぎる。我らの手には余る」
王の言葉は冷酷で、重く響いた。
「……つまり、役に立たないから追放する、ということですね」
「黙れ! お前の存在は危険因子だ!」
ディランは深く息を吐く。
自分は王国に尽くしてきた。戦場に立ち、魔物を討ち、敵国の侵攻を防いできた。
だが、それでも人は闇を恐れる。
「わかりました。出て行きます」
そう言い残して、ディランは王都を後にした。