古参MMORPG《Blood
Ring
Online》――通称BRO。
生産配信者のひまりは、ある日、PKギルド《Black
End
Wing》にスカウトされる。
理由は単純。戦えないけれど、生産職として優秀で、装備強化に必要な加工ができるから。
けれど、彼女が入ったのは、ただのギルドではなかった。
PKフィールド、ギルド戦争、レア素材、装備ルート、エンチャントスクロール。
古いMMOの血なまぐさい文化が残る世界で、ひまりは何も知らないまま、黒翼の騎士団に囲われていく。
本人はただ、素材を加工して、ドレスを着て、配信しているだけ。
なのに周囲は勝手に騒ぎ出す。
「BEWの姫では?」
「聖女と騎士じゃん」
「公式カップル疑惑きた」
「Daybreak、また燃えてるぞ」
ひまりを巡って、停滞していたPK界隈が動き出す。
古参ギルド《Daybreak》のマスター・シルヴィスは、ひまりの存在に激しく反応し、やがて同盟破棄からの奇襲戦争へと発展する。
これは、姫ムーブをしない生産配信者が、周囲の解釈とギルド政治によって、なぜか“姫”の位置に押し上げられていく話。
そして、古いMMOに残された人間関係が、もう一度燃え上がる。